張戈裕

ある日、矢野先生の手に湿疹ができたので、私たちは先生と一緒に病院に行った。矢野先生が日本人だと分かると、優しかったお医者さんが一瞬にして冷たい表情に変わった。そのお医者さんは、矢野先生は中国語が分からないと思ったせいか、私たちに向かって思うがままに日本と日本人を批判し始めた。矢野先生にはすべて理解できていたが、ずっと黙って何も言わなかった。私は泣きたくなった。確かに過去に戦争があった。中国の人々が多くの被害を受けた。しかし矢野先生には何も悪い所はない。戦争があったからすべての日本人が悪いという思考回路がおかしい。私はそのお医者さんが恨めしかった。しかし同時に、以前の私もこのお医者さんと同じだったことに気付いた。